BAD & BAD【Ⅰ】
こいつは、私の幼なじみで、同い年の小泉 真修【コイズミ マシュウ】。
私の両親と真修の両親と、もう1人の幼なじみの両親が、学生時代から仲が良く、年の近い私達子どもを昔から一緒に遊ばせていた。
簡潔に言えば、家族ぐるみの仲。
「あんたこそ、神雷でリーダーやってるなんて聞いてないよ!」
「き、聞かれなかったから言わなかった」
「何そのガキみたいな理屈!!」
くせっ毛の銀髪を毎日ワックスで整えているらしい真修は、中世的な顔立ちで、性格は師匠と少し似ている。
結構な頻度でドジをして、たまに頑固になって。
リーダーシップはお世辞にもあるとは言い難いが、自然と周りから慕われるタイプなんだ。
だけど真修は、私が心の中で時々「無自覚ジェントルマン」と呼んでいるほどの天然女たらし。
そこを直せば……いや、自覚さえしてくれれば、まだマシなのにな。
「というわけで、私は今男って設定だから」
「何が『というわけで』なのさ。ちゃんと事情を説明してよ!」
「細かいことはいいんじゃん!とにかく、よろしくね」
「……はぁ、仕方ないな」
真修はため息を吐きながら渋々了解し、くしゃくしゃっと私の頭を撫でた。
こういうことを無自覚でやるから、そこら中の女子が真修にメロメロになっちゃうんだよ。
さすが無自覚ジェントルマン。