BAD & BAD【Ⅰ】
気だるさを感じながらも、いそいそと身支度を済ませる。
私の通っている高校の制服はブレザー型なので、学ランを着て男装している時といつもの私の姿とは、ちょうどかぶらない。
「よし、完璧!」
軽く髪をとかして、カバンを持って部屋を出る。
階段を下りて、ダイニングキッチンに入った。
テレビから、先日新しく決まった首長がどうたらこうたら……、堅苦しいニュースが流れてくる。
「おっそい!もうっ、コーヒー冷めちゃったじゃない」
「ごめんごめん。あれ?お父さんは?」
「もう仕事行ったわよ」
「ふーん、早いね」
椅子に座って、お母さんが温め直してくれたコーヒーを一口飲んだ。
暇を持て余したお母さんが、趣味で作ったパンが、テーブルに並んでいる。
今日も朝食はパンか。
私、朝は和食派なんだけどな。
「あ、そうだ。あのね、お母さん。私、神雷に入ることになったよ」
非常に不本意で、強引で。
つい、投げやりになっちゃって。