BAD & BAD【Ⅰ】




まだ半分以上も残っているパンを口に無理やり押し込んで、カバンを抱えて急いで靴を履く。



「ひ、ひっへひまふ」


「はい、行ってらっしゃい」



家を出た私は、風を追い越すほどの猛ダッシュで通学路を駆け抜けた。





全力疾走してたら、あっという間に学校前に到着した。


閉まっている校門を華麗に飛び越えて、生徒玄関にこっそり忍び込む。



この時間なら、まだ1時間目の途中かも。


確か、今日の1時間目は担任の授業だった。



担任なら、ぎりぎり大丈夫だよね!!




内履きに履き替え、全速力で廊下を走り、自分の教室の扉を豪快に開けた。


よかった、2時間目には間に合った……!



「滑り込みセーフ!!」


「ぶっちぎりでアウトだ」



ため息まじりにそう言いながら、丸めた教科書で私の頭を躊躇なく叩いたのは、担任の小泉 新平【コイズミ シンペイ】先生。


担任は真修のお父さんだから、私は担任のことを「小泉パパ」って呼んでる。



わかりやすくていい呼び名でしょ?



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