BAD & BAD【Ⅰ】
それでも、真修は了承してくれたんだ。
やっぱりジェントルマンだね、あいつは。
「小泉パパ時代の神雷って、どんなんだったの?」
「んー、なんだかんだ大変だったかな。でも、今となってみれば、青春してたなあってしみじみ思うよ」
青春、か……。
私の大事な青春を、あんな珍獣達に捧げるのは断固拒否したい。
どうせなら、少女漫画でよくある学校1のイケメンに恋されるとか、幼なじみに奪い合われるとかそういう、乙女チックでドキドキな青春を送りたい。
切実に!
願わくば、空からイケメン落ちてこい。
「あ、そろそろ行かないと。じゃあ、真面目に授業受けろよ?」
「はーい」
私のゆるい返事に顔をしかめつつ、この場をあとにした小泉パパを見送ってから、再び教室内に踏み入れた。
窓際から2列目の1番後ろが、私の席だ。
私は自分の席に座ってカバンを置き、隣の席の人の方にグルンッと天使級の笑顔を向ける。