BAD & BAD【Ⅰ】
少女Kプロローグ
パーカーのフードを気にしながら、そそくさと路地をあとにした。
肘にかけている、スナック菓子などを詰めたコンビニ袋がカサカサ鳴る。
チラッと後ろを見て、誰もついてきてないことを確認してみた。
「よりによって、なんであの人が絡まれてたの……」
夕暮れ時。
コンビニ帰りに、路地で誰かがカツアゲされてるなあ、って思って颯爽と助けに行ったところまではよかった。
そう、そこまでは、ね。
だけど、カツアゲされてた被害者が、まさかの私の知り合い。
何この偶然。
しかも、その知り合いは、私が喧嘩できることを知らない。
……というわけで、焦ってる、なう。
ただでさえ、“あの日”に関わる噂が今でも陰でつきまとってるっていうのに、さらに悪い噂を追加したくない。
そう案じて、念のためあたしだってバレないように、フードをかぶっておいてよかった。