BAD & BAD【Ⅰ】
どうして、そんな辛そうに言うの?
たかやんらしくないよ。
「もしかして、たかやんって不良嫌い?」
「嫌いだったら不良になんかなってねぇよ」
たかやんに冗談っぽく返されて、余計に心配になる。
だったら、どうして息苦しそうな表情をしてるの?
「……ただ」
「ただ?」
「ちょっと、最悪なことがあっただけだ」
最悪な、こと?
……あぁ、なるほどね。
そういうことか。
「うんうん、辛いよね」
私はたかやんの肩に手を置いて、慰めの言葉をかける。
たかやんは状況が読めてないのか、眉尻を上げた。