BAD & BAD【Ⅰ】
ハゲた乙女じゃ、誰も嫁にもらってくれないよ。
三十路になっても独身だったら、副総長を訴えてやる!!
「先代に聞いた話だと、神雷がまだ2つの族に分かれていた頃、どっちかの族が創立される際にどっかの大手グループがこの洋館をタダでくれただけじゃなく、洋館にかかる費用を全額負担するって約束をしてくれたらしい」
副総長はなんとも嘘くさい話を、なんとも嘘くさそうに、それでいて気だるそうに話してくれた。
それ、本当にあった話なの?作り話じゃなくて?
出来すぎてて、信じられないんだけど。
きっと私だけじゃなくて、皆もそうだと……
「いい話だ……!」
「うぅ、感動したっす~~」
「どっかの大手グループの人達、まじいい人すぎっしょ!」
……思ってたけど、清々しいほど違ったね。
話してくれた本人が1番信じてなさそうなのに、皆簡単に信じちゃったね。
そんな皆に、私からひとつアドバイス!
信じる心も大切だけど、疑う心も持っていた方がいいよ。
真面目な話、この先ずっとそんないい子ちゃんのままでいたら、いつか絶対痛い目に遭うよ。気をつけて。