BAD & BAD【Ⅰ】




膝から崩れ落ちた弘也のダメージは、相当のようだ。



それほど女遊びがしたいのか……。


弘也は根っからのチャラ男なんだね。




そういえば、さっき弘也が『前に神雷ゲームをやった時』と言っていたけれど、罰ゲーム内容から察するにそんなに前の話ではないらしい。



「ねぇ、真修。前の時は、誰が神雷ゲームをやってたの?真修も参加してた?」


「いや、俺は外野で見てたよ。参加してたのは確か、総長と副総長と弘也さんと桃太郎さんと、えっと……」



真修は目を泳がせながら、声を沈ませていく。


どうしたんだろう。




「それと、元幹部でやったんだよ」




真修の陰った声に重ねるように、弘也が起き上がりながら告げた。


心なしか、弘也の声色がひどく悲しく感じた。



ううん、声だけじゃない。


この場の空気も、ピリッと張り詰めてしまっている。




元幹部、

そのワードがそう変えてしまったんだ。




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