Light ! *
プシュー、と電車のドアが開いて
主に聖陵高校の生徒達が降りていく。
その波に混ざりつつ歩いてホームの外に出ると、もう1度ポンポンと肩を叩かれた。
「ねえ、藤咲ひかりちゃんだよね?」
______え?
なんか名前を呼ばれた気がして後ろを振り返る。
すると、なぜか3人ほどの男子がこっちを向いていた。
しかし着ているのは聖陵の制服ではなく、
あまり評判の良くない北原高校の制服だった。
北原高校は、あと一駅先なはず。
なのに、なんで……?
「うわ、めっちゃ可愛くね?」
「さすが噂通り」
なんなんだろうこの人たち。
……気持ち、悪い。
「な、なんですか……?」
絶対上手く喋れていない。
少し自分が震えているのがわかる。
ひとこと小さい声で返しただけなのに、その3人がペラペラと話し出した。
「さっきひかりちゃん寝てたでしょー? 起こしてあげたの俺らなんだよねー! 実は!」
「そうそう。めっちゃ可愛くうとうとしてたしー?」
「だからさあ、お礼と言ってはなんだけどこれから俺らと遊ばねぇ? なんでも奢るからさ〜」
嫌だ。怖い。
涙が出てきそうになって焦る。
泣いたら絶対に連れてかれる。
そう思ったから必死にこらえた。
起こしてくれたことには素直に感謝したいけど、
こんなことになるんだったら乗り過ごしていた方がまだ良い。
逃げようにも足がすくんで動かない。
……どうしよう。
「ほら、ね? どこでも連れてってあげるからさ?
……さ、行こっか」
最後の言葉のトーンだけ妙に低くして言うと、その人はわたしの腕をぐっと掴んで歩き出した。
必死に止まろうとして踏ん張ろうとするけど
駅の床がツルツルしているせいで上手く力が入らない。