Light ! *
 






【 side ??? 】








中川晃佑、とかいう1人の男子との出会いは突然だった。








入学してまもなくのこと。




その時とっても急いでいたわたしは廊下を走っていた。




……急ぎすぎていて、周りが見えていなかった。




廊下を歩く人にぶつかってしまい、その拍子に
カバンの中身を盛大にぶちまけてしまったのだ。




ぶつかってしまった人はもちろん、他に廊下を歩いている人だって
まるでわたしのことが見えていないかのように無視して歩いていってしまう。






そんな中、彼だけは違った。








『……大丈夫か?』








そう言うと一緒に散乱してしまったプリントやら荷物やらを拾ってカバンに入れてくれた。


今思えば、この時は放課後できっと野球の練習があって忙しかったに違いないのに。








それから何かと彼を見つけると目で追ってしまうようになった。




こんなに心がドキドキするのも初めてで、
こんなに誰かを想うのも初めてだった。




野球をしている姿を見るとすごく心が踊るし
笑顔を見た日なんか倒れそうになった。








いつしか、これが「恋」なんだと気付いた。


わたしは中川晃佑という存在に恋をしていると。
きっと好きなんだと。








……しかし同時に、晃佑くんにはライバルがいっぱいいるということにも気付いてしまった。




学年内の女子はもちろん、他学年の先輩だって
彼のことが好きな人とかファンとかがとにかくいっぱいいて。




その時のショックはものすごくて
家に帰ってから落ち込んだりもした。








でももう少し頑張ってみよう、と思って
何回か晃佑くんのクラスまで行った。


わたしと同じような、晃佑くんのことが好きな女子がいて
話をしているうちに友達になったりもした。








『なんか違うクラスに幼なじみがいるらしいよ』








そう言われても、全く気にもかけなかった。


どうせ同じクラスじゃないんだし、
わたしと関わることはきっとないと思ったから。






______そして別の日、
「その日」も彼のクラスまで行こうとしてドアを開けた時、








『……おっと、ごめん』


『ごめんなさいっ』








勢い余ってドアの向こうにいた人にぶつかってしまった。




しかしその人の顔を見た瞬間。


……わたしは驚いて飛び上がりそうになった。




もう多分顔は真っ赤だし、びっくりしすぎて
頭の中も真っ白だ。






だって、目の前に晃佑くんがいたから。






 
< 20 / 45 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop