Light ! *
そして、ついにその日が来た。
わたしは少しの緊張を押し殺しつつ学校に向かう。
もしも藤咲さんが本当に危ない目にあってしまったら、とか
バレたらどうしよう、とか
そんなことを考える時もあった。
……でも、それ以上に。
藤咲さんが少し憎かったし
わたしとは直接関係ない、と思えば全然平気だった。
「おはよう」
「……あ! おはよう!」
教室の自分の席に着くとすぐ、友達に声をかけられた。
____もちろんあの、誘拐の首謀者の友達だ。
「今日だね」
「う、うん! ……そうだね」
「あー楽しみ。どうなるか」
「本当、だね」
心臓がバクバクしていることを悟られないのに精一杯で
よく友達の顔が見られない。
話せば話す分だけ現実味がまして、さらに心臓が締め付けられる。
理由はちゃんと分かってる。
……平気ではあるけど、後悔が全くなくなった訳じゃないから。