Light ! *
 






入ってきた藤咲さんの様子を見た途端、
1番に仲良くしていた伝田さんが駆け寄って行った。




伝田さん以外のクラスのみんなだって
ほとんどが藤咲さんに目線を向けている。






あまりにもみんなが見てきたからか、
藤咲さんは可愛く肩をすくめて『おはよう』と言って笑った。








それでもしん、と静まった教室に伝田さんの声が響く。








「どうしたの!? その目! その顔!
 誰かになにかされたの!?」








わたしは心臓をきゅっと掴まれたような気がした。
今までよりもずっとバクバクいっている。






……藤咲さんが目を真っ赤に腫らして、
今さっき泣いてきました、なんて顔をしているから。






だからみんなも心配そうに見つめている。








「ええ、そんな酷い顔してるかなあ?
 昨日親とケンカして、朝起こしてもらえなくて」








寝坊しちゃった、と困ったように笑っている。


それを聞いた周りの人たちはなーんだ、と言わんばかりに
また話を開始した。






……なんで、そんな嘘を、つくの?






わたしの頭の中はそんな思いでいっぱいだった。


だから、ずっと横にいた友達が言葉を発するまでずっと藤咲さんの方を見つめていたらしい。




おーい、と言われてはじめて我に返った。








「大丈夫?」


「あ、うん……成功した、のかな?」








そんなこと、分かりきってるくせに。


なんて自分に悪態を付きながら尋ねる。








「……多分失敗」


「…………そっか」








友達が自分の髪の毛をいじりながら黙ってしまったので
わたしは藤咲さんの方をぼーっと見ていた。




すると、急に友達が口を開いた。









「でも、誰が助けたんだろ……。
 あいつらにかかったら相当な人じゃないと太刀打ち出来ないはずなのに」








さすが北原高校の人。


わたしがそんな感心をしているのとは裏腹に、
友達はうつむいて考え込んでいる。




でもそれはわたしも気になっていた。






この作戦がなんで失敗したのか。




一体誰が藤咲さんを助けたのか、が。






 
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