好きになった人は吸血鬼でした。ーさくらの血契1ー【完】
真紅がその人と逢ったことは一度もない。
実の父親がどうしていないかは知っている。
あれはあれでなかなか複雑だから、真紅に言えたこともない。
それが原因で、紅亜は真紅ともども桜木の家から絶縁されたのだ。
しかし紅亜に恋人がいないとなると、どうして真紅を独りにしているかがわからない。
叶うなら、一緒に暮らしたい。
「………」
考えてもわからないことなので、一旦放棄することにした。
それより今は、黎のこととか。海雨のこととか。
明日も海雨のところへ行こう。
海雨とは保育園からの友達で、一番真紅をわかろうとしてくれる子だ。