好きになった人は吸血鬼でした。ーさくらの血契1ー【完】


「そうか……白が自分から俺を招き入れてくれるなんて、俺のよ
「天音―。振り下ろしていーぞ」


「やめろ!」
 

いつも通りの戯言(たわごと)を言うつもりだったらしい黒藤の髪を数本斬る勢いで、天音が大鎌を振り下ろすところだった。


脳天貫かれるところだった。


「白桜様! お屋敷の中に招き入れるのは危険すぎです! 御身がどれほどの危機にさらされるか……!」


「いやお前のが危険だからな⁉ 未だにそれ持ってんのかよ! 鬼神(きしん)の名前捨てる気全然ねえだろ⁉」


「わたくしたちの大事な白桜様を御守りするためなら、今一度その名を纏うことも白桃(はくとう)姫様はお許しになられますわ……!」


「白桃様引き合いに出すな!」
 

黒い空気を纏う天音と、必死に抗議する黒藤。白桜はため息をついた。


ちなみに、白桃とは白桜の母のことだ。

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