好きになった人は吸血鬼でした。ーさくらの血契1ー【完】
「んー? 真紅は影小路の血筋ですよ?」
「怪しまれるだけだろ」
いきなりそんな人が現れたら。
「従兄のお兄さんですよ?」
「それはそうだが……真紅嬢は紅緒様のことは知らんだろう? 紅亜様がお前のことを知ってるかも怪しいし……」
紅亜は生後間もなく養子に出されていると聞く。
本家の内情に、どこまで精通しているのか……。
「じゃ――から説明するしかねーのか……」
黒藤は目に見えて項垂れた。
面倒くさいだろうが、それが正道だろうに。