好きになった人は吸血鬼でした。ーさくらの血契1ー【完】
4 彼氏役
初、呼び出しを喰らいました。
校舎裏の壁に追い詰められて、真紅は内心唸った。
目の前にいるのは、クラスの中でも派手な方の女子が三人ほど。
……今までは地味―に嫌がらせをされていたけど、とうとう正面切ってきたか……。
「何回も訊いて正直こっちも悪いなあとは思ってるんだけどね?」
いや、悪いと思ってる囲み方ではないよね。
真紅は思うが、それは火に油なことくらいはわかる。
「桜城くんと付き合ってない、で、合ってるんだよね?」
真紅は何度目になるかわからないけど、肯いた。
……それでも、こう何度もこういう目に遭ってるとなあ……と、多少自棄になっていたフシはある。
言ってしまってから、後悔した。
「本当にそれは誤解。私、彼氏いるし」
『……え?』