好きになった人は吸血鬼でした。ーさくらの血契1ー【完】
「申し訳ないけど真紅……私の周りには、真紅の彼氏役出来る人とかは……」
「……だよね……」
海雨はやはり、真紅の考えなんかお見通しだった。
いないものをいるというなら、誰かにその役をやってもらうしかない。
だが、学内で一番近しいのは、元凶である架だ。
「真紅、今すきな人いるんでしょ? その人が彼氏になる可能性はないの?」
「いや、黎とはもう逢えるかわからないし……」
最期の時に、と、既に突き放されている。
「れい? もしかして小埜黎さん?」
「………え?」
なんで海雨からその名前が出てくる?
真紅が胡乱(うろん)に眉根を寄せると、海雨はやっぱりそうなんだーと一人で納得している。