好きになった人は吸血鬼でした。ーさくらの血契1ー【完】
「あ、あの、海雨? なんでその人のこと知ってるの?」
「え? だって黎さん、たまに話しにくるし。真紅はいたことなかったっけ?」
「は、話しにくる⁉ なんで⁉」
「なんで、って……黎さん、心療医見習いでしょ? まだ医学部生だけど、ここの職員さんだし……」
「そうなの⁉」
「知らなかったの?」
お互い疑問符が浮かんでいる真紅と海雨。
真紅は一瞬、思考回路が蒼ざめた。
まさかここに黎が――いる?