好きになった人は吸血鬼でした。ーさくらの血契1ー【完】


「……ちょ、


「真紅?」


「ちょっと探してくる!」
 

それだけ言い置いて、真紅は病室を飛び出した。


どこにいるかなんて、海雨に訊ねる余裕もない。
 

どこでもいい。もう一度逢えるのなら。


逢って、その銀色の瞳を映ることが出来るのなら――


「んきゃっ⁉」


「わっ、大丈夫です――
 

か、と小さい声が、頭の上から降って来た。


振り仰いだ真紅は、自分を見下ろす黒い瞳に息を呑んだ。

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