好きになった人は吸血鬼でした。ーさくらの血契1ー【完】



「名前、何だっけ?」
 

真紅は今、姫抱っこで吸血鬼に運ばれていた。


マイペースな鬼だった。


何だかもの凄く疲れたので、もう抵抗しない。気力を起こす血がない。


「……まこ。真紅(しんく)って、書く」


「真紅、ね」


「そっちは?」


「小埜黎(おの れい)。黎明の黎」


「れいめい?」


「『黒』って意味だ」

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