好きになった人は吸血鬼でした。ーさくらの血契1ー【完】
「なんで?」
「なんで、って……」
「私にそんなん持つわけないじゃん」
真紅が言い切ると、黎は疲れたように長く息を吐いた。
「彼氏役、頼める奴いなかったのか?」
「だって私、男友達とかいないし。それに……」
「それに?」
黎が彼氏になってくれたらいいなって思ったから、思いついたことだ。
……とは、恥ずかし過ぎて言えない。
まっすぐに、ずっと見たかった瞳に見つめられて、真紅は慌てて黎から視線を逸らした。