好きになった人は吸血鬼でした。ーさくらの血契1ー【完】
「へ?」
意外な言葉に顔をあげると、やはり不機嫌そうな黎がいた。
「そいつにも、男いるって話して置けば、そいつ経由で訊かれたときも誤魔化せんだろ」
「あ……」
確かにそうかもしれない。……でも。
「それじゃ、桜城くんには黎が彼氏って紹介することになるよ? 彼氏役、だけじゃなくて――」
「別に、この先俺がそいつらに逢うこともねえんだし、そういうことにしておけば?」
頓着なさそうに言われても、真紅は嬉しく思ってしまう。
「あ、ありがとう」
「真紅ちゃん。ここにいたんだ――
二人の間に割って入った声に、真紅はびくりとした。
たまに真紅と一緒に海雨のところへは来ていたけど……。
「真紅ちゃん? え……なんで……」