好きになった人は吸血鬼でした。ーさくらの血契1ー【完】
架が、黎を見て呆然としている。
知らない人が友達の隣にいて、驚いたのだろうか。
真紅はなんとしようか迷ったけど、黎が逢わせるよう名指しした男友達とは架なのだ。
そして黎は言ってくれたのだ。
「か、彼氏! 私の!」
堂々と――したつもりで――宣言したけど、黎からはなんの反応もない。
……今になって彼氏役すらやる気なくした?
「………」
心配になってそっと目だけで伺うと、黎はなんとも言えない顔をしていた。
そして、ようよう口を開いてくれた。