好きになった人は吸血鬼でした。ーさくらの血契1ー【完】
「!」
架からは聞いたことのない冷えた声音に、真紅は驚きが過ぎて一瞬固まってしまった。
「俺が誰を女にしようがお前には関係ねえだろ」
お⁉ 今度は黎の言い方にびっくりした。
彼氏役、やる気ないんじゃ……?
牙を剥いたのは架だった。
「関係あるに決まってんだろ⁉ 跡継ぎのくせに家出しやがって! 被害は全部俺に来てんだよバカ兄貴!」
………ん?
「あ、あの、桜城くん……? 黎のこと知ってるの?」
いくつか引っ掛かる単語があって、真紅は確認を求めた。
すると、服を摑まれたままの黎が先に答えた。