好きになった人は吸血鬼でした。ーさくらの血契1ー【完】
「黎、で黒なの?」
「黒、つまり夜が明ける、で夜明けって意味合いで『黎明』らしいぞ」
「ふーん?」
「真紅……なんかお前やたら軽いから、家帰ったらすぐ寝ろよ? 貧血みたいな状態だから。あ、それともメシ食った方がいいのか?」
「……女子相手に体重の話とかデリカシーない」
「そういう問題じゃねえだろ、今の真紅は。……睨むなよ。わーかった。悪かった。女の子に失礼だったよな」
「………」
な、と柔らかい顔で顔を覗き込まれて、真紅は思わず目を逸らした。
お、女たらしとはこういうのを言うのか……。
そして自分のペースに巻き込んでしまうタイプなのだろうか。
どんなに突き放してもびくともしない。マイペース強い。