好きになった人は吸血鬼でした。ーさくらの血契1ー【完】
呆れ気味の黎に促され、玄関にすとんと座り込んだ。
靴脱ぎ場から十センチもない、アパルトマンの一室。キッチン部分と、畳の部屋。
黎は真紅の前にひずまづいて、靴を脱がせた。
「!!!」
(え! な、何をされている……⁉)
鮮やかな手つきに叫ぶことも出来ない。
何で女子の靴を脱がすことに手馴れているんだ。
「ねえ……『何』なの? あなたは……」
まさかだけれど、執事とかそういったことの経験者なのだろか。
「吸血鬼だよ。真紅の血がほしいだけの」
「………」
(私は、血なら役に立てるんだ)
「あげるよ」