好きになった人は吸血鬼でした。ーさくらの血契1ー【完】


「――、って、紅緒さん?」
 

まさか、本家に勝手に繋いでいるのか?


「ああ。母上は本家の最奥に置かれている。影小路の本家は天龍って山ん中にあってな。

一応影小路家の拠点にはなってるんだけど、現当主も居つくことはなく、東京にある別邸にいる。さすがに山ん中じゃ利便さはないんだ」


「……ずっと、眠ってらっしゃるんだっけ?」


「母上の御身体は厳重に庇護(ひご)されている。母上が眠られた理由を知るのは、本家筋の人間と十二家当主とその周辺だけだ」


「じゅうにけ? って?」
 

真紅の問いかけに、黒藤は肯いた。

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