好きになった人は吸血鬼でした。ーさくらの血契1ー【完】


「影小路は小路流の宗家(そうけ)だが、長い歴史の中で多くの分家が出来たんだ。

宗家以外に十二の家が有力な分家としてある。小路十二家と呼べば、つまりは小路流の中心核ってことだ」


「じゃあ……その人たちは私のことも知ってるんだ?」


「ああ。十二家の一つに小埜という家がある。知っているか?」


「おの? ……って、黎が最初に言った名前……」
 

黎は初めて出逢ったとき、『小埜黎』と名乗っていた。


「小埜家は小路十二家であり、その縁で桜城家より黎を預かっている家だ。

まあ、現当主の古人翁で小埜家は絶えるだろう。

子どもも孫も、陰陽師となれるほど霊力がなくてな。

あとはほかの十二家より養子と取るしかないんだが……他にもあまり余裕はない。

真紅の存在が公にされていない現状、本家筋のガキも俺一人だ」

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