好きになった人は吸血鬼でした。ーさくらの血契1ー【完】
「では、わたくしは一度本家へ戻ります。真紅も、一度は本邸へ来てもらうことになるから。姉様がどうされるかは、わたくしと姉様で決めます」
紅緒は一礼して、出際に黎を睨んでから海雨の病室を出た。
「……紅亜さんそっくり」
「ね。直接逢ったのは、私も今日が初めてなんだけど……」
「けど? なんかあったの?」
真紅が黎を見ると、黎は微苦笑を浮かべた。
「……黎とのこと、思いっきり反対された」
「叔母さまが反対するの? じゃあ紅亜さんも……?」
「ううん。ママは認めてくれたんだけど……」
言いよどむ真紅の隣に、黎が立った。黒い瞳で。