好きになった人は吸血鬼でした。ーさくらの血契1ー【完】
「一般的に言えばそうかもしれませんが、母上はこの時代に俺を産んでくださった。白のいる今に。それだけで、俺は十分です」
「………」
まことは女性であるのに、男としてしか生きる道のない白桜。
母にとっては、親友の愛娘。
「そういえば母上、どうやってここへ来たんです? 母上の使役(しえき)に時空の転移が出来るものはいませんでしたよね? 涙雨は遣いに出してませんが」
「水鏡繋いでぶち破ってきました。手っ取り早かったので」
「………」
水鏡は連絡手段なんだけどなあ……。微笑のまま固まる黒藤。
……白桜の評通り、自分は、母を越えられそうにない。