好きになった人は吸血鬼でした。ーさくらの血契1ー【完】
「黎……紅緒様には逢いにくくない? 大丈夫?」
「んー、また怒られる心配はあるけど、でも、真紅に逢いたかったし」
「黎……」
二人の空気を作っていると、黎の隣にいた架が居心地悪そうに咳払いした。
が、それを気にする兄ではなかった。
一方の真紅ははっとして、慌てて視線を逸らした。
早口で照れ隠しをする。
「あ、ありがとう。一緒に来てくれれば、新しい家の場所もわかるよね」
黎は真紅の照れように苦笑して、その手を取ってそっと囁いた。
「うん。――何度でも、逢いに行くから。……真紅も諦めないでくれ」
END