もう一度、名前を呼んで2


治療室には鳳狼の人が何人かいて,手当てをしてもらっているところだった。

「藍那ちゃん来たのか」
「大丈夫?」
「俺ら丈夫だからな」

その程度の話をちょっとだけして,悠唏がいるらしい病室を教えてもらった。

え,悠唏入院するほどなの……?



モモと一緒にその部屋へ行くと話し声が聞こえた。

「行ってきな。俺は治療室に戻るから」

「うん,ありがと」

「はーい,」


ドアの前でモモと別れて部屋に入った。



「悠唏…?」

「藍那!」



ベッドに幹部がみんな腰かけていて,昂太もこの部屋にいた。


「大丈夫なの!?」


右目に大きくガーゼが貼られている。おでこのほうも怪我したの?包帯巻かれてるし…



「大丈夫だ,心配かけたな」


悠唏が薄く笑ったのを見て,あたしの緊張は解けた。




「……」

「おいおい,泣くなよ」

「……うるさいな」



龍毅があきれたような声を出すけど,あたしはずっと不安だったんだから。

待ってることしかできなくて,いつだって守られて足手まといで…

悠唏が迎えに来てくれないし怪我したなんて聞いて平気でいられるわけがない。

あたしの大事な人はみんな自分を大事にしてくれない。いっぱい怪我をするし危険な目に合うし…悠唏もいつかみたいに大怪我してあたしの目の前からいなくなってしまうんじゃないかって,いつだって考えてしまうんだから。


そりゃあ,無事だってわかったら安心して泣いてしまうよ。




「……心配かけてごめんな」


ドアのところで立ち止まったままのあたしを,悠唏はぎゅっと抱きしめてくれた。


「…よかった,無事で」

「ああ」



お願いだから,あたしをあんまり不安にさせないでよ。いつだって元気でクールで優しくいてよ。


悠唏の腕の中は暖かくて安心してもっと泣けた。


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