もう一度、名前を呼んで2
事件
*藍那*
「ビビるくらい平和やな」
「そうだね」
倉庫の外の芝生に昂太と一緒に座っていた。アリを眺めるの楽しい…角砂糖を置いてみたんだけど,みるみるうちに運ばれていくのが面白い。
「何してんの?頭おかしいんちゃう?」と暴言を吐きながらも昂太は隣にいてくれている。
失礼なやつだな,ほんと…
この間までは外でのんびりするなんて考えられなかった。
倉庫は比較的安全だけど,どこで見られてるかわからないし…って感じだった。
そういうのも含めて今は「ビビるくらい平和」ってわけだ。
「街もな,めっちゃ平和なんやで。今なら藍那も連れていけるかもしれん」
「ほんと!行きたい!」
悠唏に渋い顔をされるからあきらめてたけど,街で遊ぶのは魅力的だ。
有名なクレープのお店もあるし服屋も見たいし!
「悠唏に今度聞いてみる」
「せやな」
前は街に行くと紫蛇と衝突していたから鳳狼のメンバーも避けていたらしい。
今はそんなことはなくなったし,一般人からの視線はあるけどこっちに敵意がないことをわかってくれる人もいるんだって。
紫蛇を壊滅させたのがこんなところでも効果を見せてるんだなあ…よかった。
「学校も静かになったよね」
「せやな。最近ひとりでトイレいけるようになったんやろ?」
「そうなの!前から一人でいいって言ってたんだけどね…」
そうなのだ。危ないからって前は誰かがついてきていた。
元男子校で今もほとんど女の子がいないからトイレが一階にしかないのが悪い!
あっちゃんに直談判したから増設してくれるとは言ってた。でもその時にはもう卒業してるんじゃないかな。
「あ,角砂糖なくなったで」
「うわほんとだ!すごい!」
「早かったな~」