もう一度、名前を呼んで2





目が覚めると,見慣れない景色だった。


そうだ……また誘拐…


以前にも何度か経験した。自分のふがいなさに悔しい気持ちが湧いてくるけれど,ぶつけようにも誰もいない。

どれくらい時間がたってるのかはわからないけどきっと悠唏たちは探しているだろうな。

あたし……いつも誰かに迷惑をかけてばかりだ。せっかく紫蛇が壊滅したっていうのにまた誰かが怪我をするかもしれない。悠唏の怪我だって抜糸したばかりなのに。

喧嘩だけじゃなくて…エドみたいに取り返しのつかないことになったらどうしよう。

そう思うと胸が締め付けられた。


もう誰もあたしなんかのせいで傷ついてほしくないのに……







「目が覚めたか」
「!?」


誰もいなかったはずの部屋にひょろりとした男が現れた。

いったいどこから…?

窓のない薄暗い部屋の中でその男は今にも消えそうなほど存在感がなかった。



「危害を加えるつもりは一切ない。だが抵抗されると困るのでな…一時的に体は動かんようにしてある。悪いが話をきいてもらおう」

「なにを……」


確かに体が重くて動かない。目は開くし頭もすっきりしていて考えることはできるのに,なぜか体だけが動かない。金縛りにあったみたいだ…気持ち悪い。

力を入れてみてもじわじわと血が通う感じがするばかりで一向に筋肉が反応しないことが分かった。




「話ってなに。鳳狼を呼び出そうとでもしてるの……」


これはもう,相手の言う「危害を加えない」という言葉を信じるしかなさそうだ。

殺したり痛めつけたりすることが目的なら既にそうされているはず。悠唏たちを呼び出すための口実に使うならそれもすでに実行されているはずだ。

そんなことにはなってほしくないけれど……




「…Edward Ray Patersonからの依頼だ」

「……は!?!?」


エド……?エドワード・レイ・パターソン……!!


エドの本名を,なんで…

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