もう一度、名前を呼んで2
「依頼の内容は,アイナ・フジミヤの発見。そして必要であればアメリカまでの護送。依頼人からのメッセージも預かっている」
「待って,エドは……エドは無事なの?」
「Edward Ray Patersonは我々に接触し依頼してきた。存命でなければ不可能だ」
つまり,生きてる……
エドが生きてる……無事に…よかった……
どんな形であれ,その事実がひたすらに嬉しい。エドが生きている。
「メッセージを伝えよう」
「メッセージ?」
それは極めて短く、でも驚きの内容だった。
「『俺は生きている、あいつらの提案でお前を探すことを決意したが、無事だろうか。…俺は決めた。お前がなんと言おうが俺の元へ連れ戻す。俺が生きるためにアイナが必要だ。お前もそう思っていてくれると嬉しい。すぐにでも戻ってくる気があるのなら、そこにいる奴とともにこちらへ来い。すぐには来なくとも、俺は必ず迎えにいく。そいつと対面している時点でお前がどこにいるかはわかるからな。逃げようとしても無駄だ。待っていろ』……以上だ」
……エドが,迎えに来る?
「エドが,生きるために,あたしが必要?」
そう言った?幻聴だろうか。あたしのせいであんな目に遭ったのに。
「そんな……」
そんなことを,まだ言ってくれるの?こんなあたしに?
両目から,こらえきれなかった涙が溢れてきた。
エドはあたしを必要としてくれるの?一緒に生きたいと思ってくれる?すぐにでも戻って来いと言ってくれるの?
……こんなに幸せなことが,今まであっただろうか。
生きていてよかった。あたしも,エドも……
「うっ……ひっく…」
体が動かないから,あたしは溢れる涙を拭くこともできずに泣き続けた。