もう一度、名前を呼んで2
*悠唏*
夜になっても、藍那は見つからないままだ。
「くそ!なんで見つかんねえんだよ!!」
ガシャン!
「悠唏!」
倉庫の幹部室には悠唏と僚の2人がいた。悠唏の足元には粉々になった灰皿。
「くそ、くそ…」
「手がかりがこんなにないのは初めてで…落ち着いてくれよ…」
「落ち着いてられるかよ!」
俺はまた、藍那を守れないまま…
そう思い悠唏は歯を食いしばる。
小さい背に長い金髪という特異な姿をしているにもかかわらず、有力な藍那の目撃情報は一つもないままだった。
学校から連れ去られたのか出て行ったのか、はたまた学校のどこかに閉じ込められているのか…
校内の見て回れるだけの場所はしらみつぶしに当たった。それでも見つけられない。街では総力を挙げて聞き込みや捜索をしているのに情報がない。
いったい誰が。なんの目的で。
目的なんて、わかりきっている。俺たち鳳狼を潰すために違いない。
最大の敵だった紫蛇が壊滅し、新たなチームが作られていたとしてもおかしくはない。
だが、だとしたらなぜなにも言ってこないんだ…チームを呼び出すなり、俺だけを呼び出すなり、何か行動があるはずだ。それを先延ばしにしているとしたら、藍那が無事な保証は全くなくなる。なにが起きているのか、想像は悪い方に膨らむばかりで焦りだけが募る…
その晩、鳳狼は総力を挙げて捜索を続けたが藍那を発見することはできなかった。
ほとんど全員が青い顔でクマを作り、焦りや不安で言葉を発することも憚られるほど。
その中でも、総長である悠唏の憔悴ぶりは酷いものだった。