もう一度、名前を呼んで2


*悠唏*


「わりぃ…全員、休んでくれ」



振り絞るように言った。

一晩中探したが、人も少なく聞き込みは捗らない。

藍那がいそうな場所は探したが見つからないし、このまま学校へ行く時間まで見つからなかったら担任である篤志や啓司にも話が伝わるだろう。




そんなことよりも、これだけ探して見つからないのだからやはり何者かに囚われている可能性が高い。

未だ何の要求も来ていないが鳳狼を潰すために何らかの行動を起こされることが考えられる。

だとしたら、全員がこんなに憔悴しきっている状況はまずい…



そう思い俺たちはメンバーを休ませることを優先した。

もちろん何か情報が入ればすぐに動けるよう倉庫での休息にはなるが、普段からここで寝泊まりするメンバーは少なくない。なんとかなるだろう。



「もうすぐ朝だな…。俺は一旦家を見てみる、あいつが1人で何かしてたってこともあり得るし…」

「うん、気をつけてね」



どれだけ連絡しても繋がらないのだから、その可能性は低いがあの藍那だ。何をしでかすかはわからない。今までにも想定外の行動を起こしてきたことはある…


半ばすがるような気持ちで藍那の家へと向かった。


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