もう一度、名前を呼んで2
side A
半年前:atアメリカ
「…エド、冷たすぎよ」
「……」
「また冷水を浴びたのね、体に悪いわ」
「……ほっといてくれ」
ベッドに浅く座り、エドはうなだれていた。痛々しいその姿を見ていられず、ジュリアはテレビをつける。
〜〜♪〜
運の悪いことに聞こえてきたのは日本の曲。歌番組では日本の曲が流れることもしばしばある、それに当たってしまったのだ。
「……アイナは、わたしたちを捨てたわけじゃないわ」
「……」
「きっとなにか事情があったのよ、」
「…うるさい」
いままで触れられなかったその話題に、ジュリアはとうとう踏み込んだ。
「目の前であなたが撃たれたのよ、ショックを受けたはずだわ」
「……だから?」
「アイナは、ああだけど子供なのよ?まだまだ幼い子供…ショックに耐えられず逃げてしまってもおかしくないわ」
その言葉に、エドワードは弾かれたように反応した。
「そんなのは理由にならない!俺たちを!俺を置いていく理由には!!待っていれば良かっただろう!!!」
ベッドから勢いよく立ち上がりジュリアに詰め寄る。
「それが辛いことだってあるでしょう!?」
ジュリアもまた、それに応戦した。
「あんただって目の前でアイナが撃たれたらショックでしょう!そんな現実受け止められないでしょう!それも、自分のせいでそんなことになったら!!!」
「…っ!だが、あれはアイナのせいじゃない!」
「そんなのアイナがどう思ってるかわからないでしょう!あの状況であの子が自分を責めないわけがないわ!!そうよ!もっとちゃんとアイナを見ていれば攫われることだってなかったのに!!!」
「うるせえ!!!!!!」
カジカジと乱雑に頭を掻いて、エドワードはベッドに座った。その激しさに、ギシッと軋む音がする。
「わたしたちはアイナを探すことにしたわ。わたしはとにかく仕事をして日本にまで顔を売るし、みんなそれぞれ出来ることをするつもりよ、あなたはどうするの」
エドは、なにも言わなかった。