もう一度、名前を呼んで2

「藍那!俺の唐揚げどうだよ!」

「おいしい!」

「だろ~?俺って天才!」

ぐびぐびとビールをあおって機嫌がいい。理流のそんなふにゃっとした笑顔初めて見たよ!

「理流って料理できたんだね」

「唐揚げなんて下味付けて揚げるだけだけどな」

「揚げ物なんてあたしできないよ…」

「他のならできんのか?」

あ、ニヤニヤしながら!絶対何もできないと思ってるでしょ!

「ピザとか焼いたことあるもん!」

「ピザ!!!!」


ハハハハ!とゲラゲラ笑いだした。なに!失礼じゃない!?ピザ焼くよね!?


「さっすが帰国子女だな、ピザかよ」

「肉だって焼いたことあるし!」

「おーじゃあバーベキューの番やるか?」

「やだ」

「なんだよ!」

理流はまた可笑しそうにけらけら笑った。う~あたしだってフレンチフライくらいやったことあるもん…ジュリアと一緒に…ポテトをジュリアに渡しただけだけど!


「そういえば昼はどこに行ってたの?」

「んー?」

「あたしたちが遊んでる間!いなかったでしょ」

「俺さ、こっちが地元なんだよ!だから実家に顔出してきた」

「ふーん」

そんなついでみたいに実家に行ったりするもの?こうやって遊びに来てるのに…


「そんな顔すんな!俺だって今日が楽しみだったさ、けど地元に来たの3年ぶりだったんだよ、仕方ねえだろ」

「え、3年ぶり」

「そー。高校入ってすぐんときに一回かえって、それ以来」

「そうだったんだ…」


それじゃあ仕方ないのかな。


「そういえばなんでわざわざ留年したの?」

「お、それ聞いちゃう?」

「ダメだった…?」

「全然いいぜ。酒とってくる、座って食ってな」

そう言うと理流はふらりと離れていった。




「イェーイ藍那ちゃん飲んでるかー?」

「飲んでるよ~」

「食ってるかー!?」

「食ってるよ~」

「ハハハハ!そりゃいいことだ!」

みんなえらくハイテンションだ。やっぱりこういうワイワイするのが好きなんだなあ~

どこの集団も変わんないね、それは


壁際にあったソファに座って、大笑いしながら食べたり飲んだりしているみんなを見ていた。みるみるうちに食べ物がなくなっていくのほんと凄い。圧巻。
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