もう一度、名前を呼んで2
「……いつかは,みんなが気になってることに全部答えなきゃいけないと思ってる。だけど……今はまだ話す勇気がないの」
口に出したら,全部現実だったことを認める気がして。
あれは悪い夢だったと思いたい自分を捨ててしまう気がして。
あたしはなんて弱いんだろうと悲しくなるけど,でも……でも,話せない。
エドとの思い出を人に話すのも嫌だけど,それ以上に色んな事件のことを思い出すのが怖い。それに……あの日のことも……
「……泣くほど嫌なこと,思い出させて悪かったよ」
どうしよう。涙が止まらない。
エド,エド……ごめんね。逃げてごめん。すぐにエドのところに帰る勇気がなくてごめん。いつまでも逃げてばかりでごめん。生きていてくれて,ありがとう……
「藍那,俺たちはいつまでも待ってるから」
悠唏の優しい声がした。
優しい場所ばかりを選んで,あたしはみんなに何を返したらいいんだろう……