クールな公爵様のゆゆしき恋情 外伝 ~騎士団長の純愛婚~
騎士と婚約
「お前の結婚相手が決まった」
お父様のその言葉は、突然だったけれど意外ではなかった。
私は昨年社交界デビューを済ませており、いわゆる結婚適齢期にあるからだ。
私の名前はグレーテ・アンテス。身分はベルハイム王国アンテス辺境伯の次女で、次の誕生日に十八歳になる。
家族はアンテス家当主の父と伯爵家出身の母、それから年の離れた兄と姉。
十歳上の兄レオンハルトは、次代のアンテス辺境伯で、ベルハイム第二王女を妻に迎えている。
八歳年上の姉ラウラは、八年前に名門フェルザー公爵家の当主、アレクセイ元王子殿下と結婚した。
兄と姉がアンテス家の立場としては最高と言える相手と結婚した為、私の結婚にはそれ程政略的な事は求められていない。
でもだからこそ、お父様が私の相手に誰を選んだのか、予想がつかなかった。
社交界の独身の貴族男性の顔を思い浮かべても、どうもピンと来ない。
年と身分が釣り合う相手は何人か居るけれど、自分がその中の誰かの妻となる未来を全く想像出来ないのだ。
「どうかしたのか?」
黙ったままの私に、お父様が訝しげな表情で言う。
「いえ、なんでも有りません。それでお相手はどなたなのでしょうか?」
考えるより聞いた方が早い。
お父様が、私を真っ直ぐ見つめて言った。
「リュシオン・カイザーだ」
その言葉を聞いた瞬間、私の心臓は大きく鼓動を打ちはじめた。
まさか、リュシオンが結婚の相手だなんて……。
艶やかな赤髪、漆黒の瞳が美しいリュシオンの姿が脳裏に浮かんだ。
息をするように自然に容易に、私はいつでもリュシオンの姿を思い出せる。
お父様のその言葉は、突然だったけれど意外ではなかった。
私は昨年社交界デビューを済ませており、いわゆる結婚適齢期にあるからだ。
私の名前はグレーテ・アンテス。身分はベルハイム王国アンテス辺境伯の次女で、次の誕生日に十八歳になる。
家族はアンテス家当主の父と伯爵家出身の母、それから年の離れた兄と姉。
十歳上の兄レオンハルトは、次代のアンテス辺境伯で、ベルハイム第二王女を妻に迎えている。
八歳年上の姉ラウラは、八年前に名門フェルザー公爵家の当主、アレクセイ元王子殿下と結婚した。
兄と姉がアンテス家の立場としては最高と言える相手と結婚した為、私の結婚にはそれ程政略的な事は求められていない。
でもだからこそ、お父様が私の相手に誰を選んだのか、予想がつかなかった。
社交界の独身の貴族男性の顔を思い浮かべても、どうもピンと来ない。
年と身分が釣り合う相手は何人か居るけれど、自分がその中の誰かの妻となる未来を全く想像出来ないのだ。
「どうかしたのか?」
黙ったままの私に、お父様が訝しげな表情で言う。
「いえ、なんでも有りません。それでお相手はどなたなのでしょうか?」
考えるより聞いた方が早い。
お父様が、私を真っ直ぐ見つめて言った。
「リュシオン・カイザーだ」
その言葉を聞いた瞬間、私の心臓は大きく鼓動を打ちはじめた。
まさか、リュシオンが結婚の相手だなんて……。
艶やかな赤髪、漆黒の瞳が美しいリュシオンの姿が脳裏に浮かんだ。
息をするように自然に容易に、私はいつでもリュシオンの姿を思い出せる。
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