クールな公爵様のゆゆしき恋情 外伝 ~騎士団長の純愛婚~
「なぜ? グレーテの危機に私が駆けつけるのは当然のことです」
「……でも、今はバラークのことがあるから、お兄様が許さないでしょう? 私の事に構っている暇は無いと思ったの」
「レオンハルト様には事情を伝える為、使者を送ってあるし、グレーテの救出を優先したことを咎められることはないはずです。そうでなくても私はグレーテを放ってアンテスに帰ることなど出来なかった。騎士失格かもしれませんが……」
そう言うと、リュシオンは切なそうに目を細め、その手で私の頬に触れて来た。
「足だけでなくあちこち傷付いてしまいましたね」
「顔にも傷がある?」
まだ鏡を見ていないから分からないけれど、転んでぶつけたときにすりむいたのかもしれない。
「かすり傷です……でも綺麗な顔にこんな傷がついてしまったのは許せません」
「大げさよ。それにリュシオンだって顔に傷が出来てしまっているわよ」
クスリと笑いながら言うと、リュシオンが何か言おうとした。
けれど彼の声が聞こえるより早く、馬車の扉がノックされ、騎士の大きな声が聞こえて来た。
「リュシオン様、ヘルマン様が到着しました」
「無事なの?」
動くなと言われていたことも忘れ、馬車から降りようとすると、リュシオンにすぐさま止められた。
「グレーテはここに。ヘルマン様の様子は私が確認してきます」
「え、ええ」
リュシオンは素早く馬車の扉を開け降りて行く。
「……でも、今はバラークのことがあるから、お兄様が許さないでしょう? 私の事に構っている暇は無いと思ったの」
「レオンハルト様には事情を伝える為、使者を送ってあるし、グレーテの救出を優先したことを咎められることはないはずです。そうでなくても私はグレーテを放ってアンテスに帰ることなど出来なかった。騎士失格かもしれませんが……」
そう言うと、リュシオンは切なそうに目を細め、その手で私の頬に触れて来た。
「足だけでなくあちこち傷付いてしまいましたね」
「顔にも傷がある?」
まだ鏡を見ていないから分からないけれど、転んでぶつけたときにすりむいたのかもしれない。
「かすり傷です……でも綺麗な顔にこんな傷がついてしまったのは許せません」
「大げさよ。それにリュシオンだって顔に傷が出来てしまっているわよ」
クスリと笑いながら言うと、リュシオンが何か言おうとした。
けれど彼の声が聞こえるより早く、馬車の扉がノックされ、騎士の大きな声が聞こえて来た。
「リュシオン様、ヘルマン様が到着しました」
「無事なの?」
動くなと言われていたことも忘れ、馬車から降りようとすると、リュシオンにすぐさま止められた。
「グレーテはここに。ヘルマン様の様子は私が確認してきます」
「え、ええ」
リュシオンは素早く馬車の扉を開け降りて行く。