クールな公爵様のゆゆしき恋情 外伝 ~騎士団長の純愛婚~
 考えてみると、私はヘルマンの存在に助けられていたと思う。

 先が不安なままたった一人で監禁されていたら、恐怖は倍増していただろう。

 決して心強くはなかったけれど、ヘルマンの存在で気が紛れた。逃げ出すときは怖がりながらも助けてくれたし。

 しばらくするとリュシオンが戻って来た。

「リュシオン、ヘルマンは無事なの?」

「大きな怪我は無いようです。ただ歩行が困難なようで時間がかかっています」

 大したことのない怪我なのに歩行が困難?  怪訝に思っていると、リュシオンの部下の騎士に支えられてたヘルマンがやって来るのが見えた。

「……もしかしたらヘルマンは腰を抜かしてしまったの?」

 よろよろとしたその姿を見て問えば、リュシオンは少し気まずそうにしながら、小さく頷いた。
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