クールな公爵様のゆゆしき恋情 外伝 ~騎士団長の純愛婚~
 リュシオンがカサンドラを不審に思った点は、私の情報を必要以上に持っていたからだった。

 一般には知られていないような私のプライベートな情報や、リュシオンとの婚約の経緯までつぶさに把握していて、それは明らかに何らかの手段で私のことを調べたからだろうと考えたそうだ。

 だけど、カサンドラに手駒になる間者などいない。

 だったら誰から私の情報を聞き出したか。

 それだけでサウル王子と結びつける事は無かったけれど、どうしても気になってしまい、リュシオンはアンテスに発つ前にベルツの市場も不審な点が無いか調査し、そこでカサンドラの侍女とシハレフの人間が密かに接触していることを知った。

 確かに私もカサンドラの侍女を市場で見た。

 と言う事はあの時リュシオンも市場にいたの? 

 そう聞くとリュシオンは私の姿を目にしていて、それどころかフレッドと話もしていたと言う。

 だったら私にも声をかけてくれたら良かったのにと思ったけれど、リュシオンにも考えがあったのだろうと追及するのは辞めておいた。

 そんな風にリュシオンはカサンドラとサウル王子の接点を掴みその目的を知ったけれど、その頃には私は既に誘拐されてしまったというわけだ。

 今回の件のサウル王子の目的は、本人の口から聞いている。

 ヘルマンの動機も。

 謎だったカサンドラの動機は、邪魔な私の排除だった。

 彼女は私をリュシオンの前から消し去りたかった。その為だけにサウル王子に協力をした。

 サウル王子が言うには、協力者としてヘルマンより余程優秀だったそうだ。

 彼女のおかげで、ベルツ家の警備をくぐり私を誘拐できたのだからその通りだろう。

 ヘルマンは表向きの連絡係。カサンドラの為に頑張っていた彼のことを考えると切なくなる。

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