クールな公爵様のゆゆしき恋情 外伝 ~騎士団長の純愛婚~
それから更に半年後の晴天の日。
私はリュシオンの妻になった。
沢山の人が祝福してくれる中、神に誓う。
この先何があってもリュシオンと支えあって生きていくと。
結婚式の後の宴は盛況だった。
リュシオンは、お兄様や同僚の騎士達に囲まれ、お酒を飲まされている。
あの様子ではリュシオンは今夜は眠れないかもしれない。
そんな事を考えていたけれど、夜も深まって来た頃リュシオンが私を迎えに来て、私達は馬車で新居に向かった。
私達の新居はアンテス城下にある、高位の騎士や文官が住む一角の中でも最も好立地に建つ真新しい屋敷だ。
馬車が門を通り、玄関に着くと数人の使用人たちが出迎えてくれた。
彼等はリュシオンが自ら選び雇った使用人と、元から私に仕える侍女達。もちろんホリーもいる。
「旦那様、奥様、お帰りなさいませ」
そう出迎えられて私は頬を染めて、隣を歩くリュシオンを見上げた。
結婚したって実感が込み上げてくる。
本当に今日からリュシオンが私の旦那様なのだ。
「ありがとう……旦那様、入りましょう」
使用人に挨拶を返してから、リュシオンに悪戯っぽく言う。
するとリュシオンは少し驚いた顔をしたのだけれど、次の瞬間には私を横抱きにして屋敷の玄関を通り中に入る。
そのまま広い階段を上がり二階の奥に進んで行き、私達の寝室の広いベッドに私の身体を横たえた。
「……リュシオン?」
寝心地の良いスプリングを背中に感じながら、いつの間にか覆いかぶさって来たリュシオンを見上げる。
その瞬間、心臓がドキリと波打った。
なんだか……リュシオンの表情がいつもと違う。