クールな公爵様のゆゆしき恋情 外伝 ~騎士団長の純愛婚~
「んんっ!」

 反射的にリュシオンの胸を押し返すけれど、びくともしない。

 そうしている内に、両手はリュシオンによって掴まれ、抵抗ひとつ出来なくなった。

 何度も深いキスが降りてくる。

 頭が真白になってしまうそれは、私が息も絶え絶えになる迄続けられ、解放された時、私は視線も定まらず呆然とリュシオンを見つめていた。

「グレーテ」

 リュシオンが私を優しく見下ろし、何度も貪られた唇を長い指でそっと撫でる。

 すっかり熱くなった唇はリュシオンに触れられると、敏感に反応してしまう。
 唇だけで身体中も……熱い。

 これが本当の恋人同士のキスなの?

 刺激が強すぎでどうかしてしまいそう。

 だけど、もう一度して欲しいと思ってしまう。身も心も溶けてしまいそうなキスを。

 潤んだ目で見つめると、応えるようにリュシオンが近付いて来る。

 それからはもう何も考えられなかった。

 長い間私の唇を塞いでいた、リュシオンの唇が首筋から胸元に進んで行き、纏っていたドレスを取り払われる頃には、私は自分でも驚くような甘えるような声を上げていた。

 ただ必死にリュシオンに背中に腕を回して縋りつく。

「グレーテ」

 リュシオンが、すっかり力を失った私を抱き締めながら言う。

「愛している。私の妻になってくれてありがとう」
「リュシオン……私も」

 私は誰よりも幸せだ。

 最愛の旦那様を、心からの愛を込めて抱き締めた。


~end~
< 164 / 164 >

ひとこと感想を投票しよう!

あなたはこの作品を・・・

と評価しました。
すべての感想数:269

この作品の感想を3つまで選択できます。

この作家の他の作品

一度は諦めた恋なのに、エリート警視とお見合いで再会!?~最愛妻になるなんて想定外です~
  • 書籍化作品
[原題]再会したエリート警視とお見合い最愛婚

総文字数/101,186

恋愛(その他)105ページ

表紙を見る
望まれない花嫁に愛満ちる初恋婚~財閥御曹司は想い続けた令嬢をもう離さない~
  • 書籍化作品
[原題]京極家の花嫁〜財閥御曹司の秘めた愛〜

総文字数/102,443

恋愛(純愛)195ページ

表紙を見る
円満夫婦ではなかったので

総文字数/109,259

恋愛(キケン・ダーク)165ページ

表紙を見る

この作品を見ている人にオススメ

読み込み中…

この作品をシェア

pagetop