クールな公爵様のゆゆしき恋情 外伝 ~騎士団長の純愛婚~
リュシオン・カイザーは、私が物心つく前から、我がアンテス家に仕える騎士だ。
だけど、ただの騎士ではない。
彼は【ベルハイム王国一の騎士】と謳われる程に優れた能力を持つ、アンテス家にとってなくてはならない騎士なのだ。
リュシオンは、私より十歳年上の二十八歳。
スラリとした体躯に、鮮やかな赤髪と黒曜石のような瞳が美しく周囲の目を惹く。
彼の立場を知らない者が見たら王都の貴公子のようにも見えるだろう。
穏やかな声、優しい眼差しの彼は、身内には安心感を与える人だけれど、いざ戦場に出た後は鬼神の如き強さを見せ、敵国の屈強な将軍からも恐れられる程だと言う。
強く美しいリュシオンは女性達の憧れの的だ。
侍女たちが彼の姿を見て、頬を紅潮させているのを何度も見た。
無理もない。私だって、リュシオンを見かけた時はつい目で追ってしまっている。引寄せられるように目が離せなくなってしまうのだ。
だけど……。
影が差すように気持ちが暗くなるのを感じ、私はそっと目を伏せた。
「リュシオンでは不満か?」
顔に出したつもりは無かったけれど、お父様は私の重い気持ちに気付いたようだ。
私は、ゆっくりと視線を上げる。
だけど、ただの騎士ではない。
彼は【ベルハイム王国一の騎士】と謳われる程に優れた能力を持つ、アンテス家にとってなくてはならない騎士なのだ。
リュシオンは、私より十歳年上の二十八歳。
スラリとした体躯に、鮮やかな赤髪と黒曜石のような瞳が美しく周囲の目を惹く。
彼の立場を知らない者が見たら王都の貴公子のようにも見えるだろう。
穏やかな声、優しい眼差しの彼は、身内には安心感を与える人だけれど、いざ戦場に出た後は鬼神の如き強さを見せ、敵国の屈強な将軍からも恐れられる程だと言う。
強く美しいリュシオンは女性達の憧れの的だ。
侍女たちが彼の姿を見て、頬を紅潮させているのを何度も見た。
無理もない。私だって、リュシオンを見かけた時はつい目で追ってしまっている。引寄せられるように目が離せなくなってしまうのだ。
だけど……。
影が差すように気持ちが暗くなるのを感じ、私はそっと目を伏せた。
「リュシオンでは不満か?」
顔に出したつもりは無かったけれど、お父様は私の重い気持ちに気付いたようだ。
私は、ゆっくりと視線を上げる。