クールな公爵様のゆゆしき恋情 外伝 ~騎士団長の純愛婚~
アトレゼ通りは、午前中に見て回った中央通りとは雰囲気が違っている。
貴族や裕福な商人向けの店が立ち並ぶこの通りは、人通りもそこまで多くなく落ち着いた雰囲気だ。
時々騎士達が見回りに来ているようで、リュシオンと私に気付くと驚いた顔をしていた。
騎士達は私達が忍んで来ている事を察したようで、無粋に話しかけて来たりはしない。だけどこの様子ではその内誰か知り合いに遭遇して話しかけられそうだ。
そんな心配をしていたところ、本当に声をかけられた。
「リュシオン?」
声の主へ目を向ける。そこには小柄な男性が居て、立ち止まりリュシオンの顔を見上げていた。
リュシオンと同年代と思われるその男性は、アトレゼ通りに買い物に来るのに相応しい、上質な衣装に身を包んでいる。
帯剣していないから騎士ではなさそうだ。
リュシオンは、一見目だった反応は見せなかったけれど、何の反応も無い事が逆にとても珍しく、彼が驚いていると言う事だと察せられる。
「リュシオン、知り合いの方?」
小声で問いかけると、リュシオンははっとしたような表情で私に小さく頷いてから、男性に向けて言った。
「お久しぶりです、ヘルマン様」
リュシオンより身分が上の人なのだろう。敬意を表わす礼をするリュシオンに、ヘルマンと呼ばれた男性は満足そうに目じりを下げた。
「五年ぶりか?。 まさかお前がこんな所で暢気に買い物をしているとは思わなかったから驚いたよ」
なんだか棘がある言い方に感じる。この人とリュシオンはどんな関係なんだろう。
様子を窺っていると男性の視線が私に向いた。
値踏みするようにじっと見つめられる。
不躾なその視線を不快に感じたその時、リュシオンが私を隠すように立ち居地を変えた。
貴族や裕福な商人向けの店が立ち並ぶこの通りは、人通りもそこまで多くなく落ち着いた雰囲気だ。
時々騎士達が見回りに来ているようで、リュシオンと私に気付くと驚いた顔をしていた。
騎士達は私達が忍んで来ている事を察したようで、無粋に話しかけて来たりはしない。だけどこの様子ではその内誰か知り合いに遭遇して話しかけられそうだ。
そんな心配をしていたところ、本当に声をかけられた。
「リュシオン?」
声の主へ目を向ける。そこには小柄な男性が居て、立ち止まりリュシオンの顔を見上げていた。
リュシオンと同年代と思われるその男性は、アトレゼ通りに買い物に来るのに相応しい、上質な衣装に身を包んでいる。
帯剣していないから騎士ではなさそうだ。
リュシオンは、一見目だった反応は見せなかったけれど、何の反応も無い事が逆にとても珍しく、彼が驚いていると言う事だと察せられる。
「リュシオン、知り合いの方?」
小声で問いかけると、リュシオンははっとしたような表情で私に小さく頷いてから、男性に向けて言った。
「お久しぶりです、ヘルマン様」
リュシオンより身分が上の人なのだろう。敬意を表わす礼をするリュシオンに、ヘルマンと呼ばれた男性は満足そうに目じりを下げた。
「五年ぶりか?。 まさかお前がこんな所で暢気に買い物をしているとは思わなかったから驚いたよ」
なんだか棘がある言い方に感じる。この人とリュシオンはどんな関係なんだろう。
様子を窺っていると男性の視線が私に向いた。
値踏みするようにじっと見つめられる。
不躾なその視線を不快に感じたその時、リュシオンが私を隠すように立ち居地を変えた。