クールな公爵様のゆゆしき恋情 外伝 ~騎士団長の純愛婚~
「ヘルマン様はなぜアトレゼに?」
「……シハレフ家の件で報告が有って来たんだよ」
ヘルマンと呼ばれた男性は、不機嫌そうな声で答える。
私は“シハレフ家”についての情報を思い浮かべていた。
シハレフとは、アンテス辺境伯領と海を挟んで隣り合っている小国の名前だ。
国力も国土もベルハイム国とは比べものにならない程小さい。
けれど、恵まれた気候と埋蔵されている資源のおかげで国は潤い、国民も豊かな生活をしているそうだ。
ヘルマンはシハレフの関係者なのだろうか。
「シハレフの件ならお急ぎでしょう。辺境伯様は王都に滞在中ですので、レオンハルト様にお目通り願うのが良いかと思います」
「そのような事は指図されずとも承知している。それよりそちらの女性を紹介しては頂けないのかな? どこかで見た事があるような気がするんだが……」
リュシオンの背中に隠れた私を覗き込もうとしながらヘルマンが言う。
どうやら私とリュシオンの結婚の事は知らないらしい。その事から、それ程情報収集力の無い人だと察せられる。
少し会話してみたい気もしたけれど、リュシオンは私に前に出て欲しくない様子だ。
「申し訳有りません。急いでおりますので本日はこれで失礼させて頂き、後日改めて挨拶に伺います」
淡々と言い、私を促しその場から離れようとする。けれどしつこく止められてしまった。
「……へえ。その女性とどこへ行くのかな? 彼女はお前の恋人か? だとしたら私に挨拶も無いのは無礼なんじゃないか。お前の教育はどうなっているの?」
この人は一体何なのだろう。
さっきからリュシオンに対して随分と失礼な態度だ。
それにリュシオンの貴重な休みを長々と邪魔して欲しく欲しくない。
段々と不愉快になった私は、忍耐の限界とばかりに一歩前に進み出た。
「……シハレフ家の件で報告が有って来たんだよ」
ヘルマンと呼ばれた男性は、不機嫌そうな声で答える。
私は“シハレフ家”についての情報を思い浮かべていた。
シハレフとは、アンテス辺境伯領と海を挟んで隣り合っている小国の名前だ。
国力も国土もベルハイム国とは比べものにならない程小さい。
けれど、恵まれた気候と埋蔵されている資源のおかげで国は潤い、国民も豊かな生活をしているそうだ。
ヘルマンはシハレフの関係者なのだろうか。
「シハレフの件ならお急ぎでしょう。辺境伯様は王都に滞在中ですので、レオンハルト様にお目通り願うのが良いかと思います」
「そのような事は指図されずとも承知している。それよりそちらの女性を紹介しては頂けないのかな? どこかで見た事があるような気がするんだが……」
リュシオンの背中に隠れた私を覗き込もうとしながらヘルマンが言う。
どうやら私とリュシオンの結婚の事は知らないらしい。その事から、それ程情報収集力の無い人だと察せられる。
少し会話してみたい気もしたけれど、リュシオンは私に前に出て欲しくない様子だ。
「申し訳有りません。急いでおりますので本日はこれで失礼させて頂き、後日改めて挨拶に伺います」
淡々と言い、私を促しその場から離れようとする。けれどしつこく止められてしまった。
「……へえ。その女性とどこへ行くのかな? 彼女はお前の恋人か? だとしたら私に挨拶も無いのは無礼なんじゃないか。お前の教育はどうなっているの?」
この人は一体何なのだろう。
さっきからリュシオンに対して随分と失礼な態度だ。
それにリュシオンの貴重な休みを長々と邪魔して欲しく欲しくない。
段々と不愉快になった私は、忍耐の限界とばかりに一歩前に進み出た。