クールな公爵様のゆゆしき恋情 外伝 ~騎士団長の純愛婚~
「リュシオン、紹介して下さる?」
笑顔無く言う私に顔を強張らせながらも、リュシオンは諦めたようにヘルマンを紹介してくれた。
「こちらは私の生家が仕えるベルツ家の次期当主、ヘルマン・ベルツ様です」
伝えられた内容に私は内心驚愕していた。
今朝話していたリュシオンの生家の関係者に、まさかこんなに直ぐ会うとは思っていなかったのだ。
私は動揺を隠し頷くと、改めてヘルマンを見た。
リュシオンの口元までしかない、男性としては小さな背丈に華奢な骨格。
立ち振る舞いにはリュシオンやフレッドのような切れは見られず、特別な訓練をしているようには思えなかった。
自分からリュシオンに声をかけて来た割には友好的な態度ではなく、初めから棘のある言葉ばかり発する。
リュシオンに対するそんな態度が許せないと思ったけれど、もしかしたらこのヘルマンこそがリュシオンが他人の人生を変えてしまったと言い、悔恨の念を持っている相手なのかもしれない。
だとしたら、いくら嫌な相手でも私は余計な事を言わない方がいい。
「リュシオン、紹介の順番が違うだろ? お前本当に気が利かないな、国一番の騎士とか言われて調子に乗っているんじゃないか?」
一言文句を言いたい気持ちを押さえ、私は冷静さを心がけて言った。
「ヘルマンさん。私はグレーテ・アンテスです。今日は私用でアトレゼに忍んで来ていますので、正式な挨拶は後日とさせて頂きます」
慇懃無礼に告げると、ヘルマンの顔色が一瞬で変わる。
「え……アンテスって……まさか辺境伯令嬢?」
そんな事、わざわざ聞かなくても分かるだろうと思いながらも、質問に答えるべく頷く。
口が悪い割に小心者なのか、ヘルマンの顔色は益々悪くなってしまった。
笑顔無く言う私に顔を強張らせながらも、リュシオンは諦めたようにヘルマンを紹介してくれた。
「こちらは私の生家が仕えるベルツ家の次期当主、ヘルマン・ベルツ様です」
伝えられた内容に私は内心驚愕していた。
今朝話していたリュシオンの生家の関係者に、まさかこんなに直ぐ会うとは思っていなかったのだ。
私は動揺を隠し頷くと、改めてヘルマンを見た。
リュシオンの口元までしかない、男性としては小さな背丈に華奢な骨格。
立ち振る舞いにはリュシオンやフレッドのような切れは見られず、特別な訓練をしているようには思えなかった。
自分からリュシオンに声をかけて来た割には友好的な態度ではなく、初めから棘のある言葉ばかり発する。
リュシオンに対するそんな態度が許せないと思ったけれど、もしかしたらこのヘルマンこそがリュシオンが他人の人生を変えてしまったと言い、悔恨の念を持っている相手なのかもしれない。
だとしたら、いくら嫌な相手でも私は余計な事を言わない方がいい。
「リュシオン、紹介の順番が違うだろ? お前本当に気が利かないな、国一番の騎士とか言われて調子に乗っているんじゃないか?」
一言文句を言いたい気持ちを押さえ、私は冷静さを心がけて言った。
「ヘルマンさん。私はグレーテ・アンテスです。今日は私用でアトレゼに忍んで来ていますので、正式な挨拶は後日とさせて頂きます」
慇懃無礼に告げると、ヘルマンの顔色が一瞬で変わる。
「え……アンテスって……まさか辺境伯令嬢?」
そんな事、わざわざ聞かなくても分かるだろうと思いながらも、質問に答えるべく頷く。
口が悪い割に小心者なのか、ヘルマンの顔色は益々悪くなってしまった。